嘘つきな天使
西園寺刑事は千尋さんの事件……?自殺…?のことは多くを触れずにピザ一かけらだけを食べて
「僕はそろそろお暇するよ。今日は元々由佳さんの様子を見に来ただけだし」
まだ涙が止まらない私は歪んだ視界で西園寺刑事さんが腰を上げるのを目だけで見送る。隣に座った由佳が私の背中を優しく撫でさすってくれていた。それはいつか私が由佳にした仕草。こんな悲しい形で帰って来るとは。
知坂に捨てられて家を追い出されたときより何倍も心が―――痛い。
まるで心臓にナイフを突きつけられたみたいだ。そこから血が流れていて、私はそれを止める手段が分からないよ。
きっと天真はこの何倍も血と涙を流したに違いない。
それから一時間程して天真が迎えにきた。
ご丁寧に由佳のお部屋の前まで。エントランスまで送ると言ってくれた由佳の手間が省けたっちゃ省けたが。
「ねぇ、私目腫れてない?」天真が由佳の部屋の外で待っている最中、私は不安そうに由佳を振り返った。
「多少化粧は崩れてるけど大丈夫。これ、効くんだよ」と由佳が貸してくれた冷蔵庫で冷やすタイプのアイマスクは大いに活躍してくれて鏡で最終チェックすると確かに目の腫れはひいていた。
由佳―――由佳も”A”に被害に遭ったとき、たくさん泣いたに違いない。だからこのアイマスクを……
でも、この後天真と一緒に帰るんだよね。二人っきりになるし、私また取り乱したりしないかな。
不安になっていると
『彩未~?』とのんびりとしたいつもの口調の天真がインターホンモニターに映り、天真の顔を見るだけでまた涙が出てきそうになったが、私は大きく息を吸い込んだ。
いつまでも逃げてちゃダメ。
私は―――
天真と向き合う。
私はぎゅっとスカートを握った。
天真は私を救ってくれた。
いつだって私を守ってくれた。
天使に守られてる気がしていつも私は彼の胸の中安心していた。
今度は私が
天真を救う番。