竜王の歌姫
この国一番の美形と言われれば、誰しもギルバートの名を上げるだろう。
しかし目の前にいるラースも、誰が見ても頷くような美形だ。
ラースはカノンをじっと見つめたかと思えば、すっと片手を伸ばす。
「確か、前はもっと顔が隠れるような髪型だったよね?
前髪切ったんだ?」
ラースの伸ばした指先が、カノンの髪に触れる。
そして、カノンを見つめ、誰もが見惚れるような笑みを浮かべながらラースは言う。
「可愛いね。よく似合ってる」
”可愛い“
それは、ギルバートが漏らしたのと同じ言葉。
けれどくすぐったくて恥ずかしくて、心臓が破裂しそうな程にドキドキする……あの時のような熱は宿らない。
でもラースのような人にも褒めてもらえるなんて恐れ多いながら光栄だと、カノンはペコリと頭を下げた。
そんなカノンの反応が意外だったように、ラースは目を丸くする。
「……なるほどね」
小さく呟いた後に、ふっと笑って。
「……?」
「仕事の邪魔してごめん。
またね―――カノン」
そう言ってあっさりと去っていくラースの後ろ姿を、カノンは不思議そうに見つめるのだった。
しかし目の前にいるラースも、誰が見ても頷くような美形だ。
ラースはカノンをじっと見つめたかと思えば、すっと片手を伸ばす。
「確か、前はもっと顔が隠れるような髪型だったよね?
前髪切ったんだ?」
ラースの伸ばした指先が、カノンの髪に触れる。
そして、カノンを見つめ、誰もが見惚れるような笑みを浮かべながらラースは言う。
「可愛いね。よく似合ってる」
”可愛い“
それは、ギルバートが漏らしたのと同じ言葉。
けれどくすぐったくて恥ずかしくて、心臓が破裂しそうな程にドキドキする……あの時のような熱は宿らない。
でもラースのような人にも褒めてもらえるなんて恐れ多いながら光栄だと、カノンはペコリと頭を下げた。
そんなカノンの反応が意外だったように、ラースは目を丸くする。
「……なるほどね」
小さく呟いた後に、ふっと笑って。
「……?」
「仕事の邪魔してごめん。
またね―――カノン」
そう言ってあっさりと去っていくラースの後ろ姿を、カノンは不思議そうに見つめるのだった。