いつか、桜の季節に 出逢えたら

第33話 2025年4月2日【完結】

ーーここは、桜の名所として、そんなに有名だったのか。

この間、来たばかりの場所に、また来ることになるなんて。
私の中では、約三ヶ月前に見た景色。

土手の上から見える川の景色は変わらないけれど、あの時にはなかったものが置いてあったり、草が刈り取られているから、少しだけ違う場所のように思える。


少し早くに着いたから、待ち合わせの場所に座って、この三ヶ月間のことを思い出す。

私が元の世界に戻れているということは、紫苑が約束を守ってくれたのだろう。

八年も経ってるんだから、私のことなんて、もう忘れちゃったよね。
今さら私に会っても、困るよね。
紫苑は、今の私を知らないわけだし。
知らない女が自分を探してるとか、怖すぎるでしょ。

好きな人くらいいるだろうし、もしかしたら結婚とかしてたりして。
自分で言ったんでしょーー「私のことなんて忘れて」と。
想像するだけで悲しくなるけど、きっと、幸せに暮らしているよね。

いいじゃん。紫苑が幸せならーーそれで。


それよりも、今日は初めてゲームの親友と会うんだから、そっちに集中しよう!


YUKARIさんとは、大学時代に、偶然ゲーム内で出会った。
妙に気が合うから、いろんな悩み事を相談したなーー。
思えば、私に自信をつけてくれたのも、親の呪縛から解放してくれたのも、YUKARIさんだったと思う。
つまり、今の私になれたのは、彼女のおかげなのだ。

何度かオフ会の機会はあったけど、なぜか都合が悪くなった。
他の人とは会えるのに、YUKARIさんとだけは、なぜか絶対に会えなかった。

彼女に会ったら、この「夢か現実かわからない話」を聞いてもらおうーー
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