吹奏楽に恋した私の3年間

新しい出会い

新学期。

新しい学年、新しいクラス。

私は、詩妃とも芽衣歌ちゃんとも離れてしまった。

「やばい、仲いい友達いない、、!」

教室のざわめきの中で、私はひとりぼっちのような気がした。

入ってみると、双子の茄知子と一緒だった。

茄知子とは双子のもう一人と、三歳の時からの知り合いで、仲良くしていた。

最近、詩妃と、芽衣歌ちゃんとなかよくしていたからあまり接点はなかった。

「やっほーー 一緒やん!!」

「やったねーー!うれしい!」


でも、それ以上に気になっていたのは吹奏楽部のこと。

校長先生の話も耳に入らず、ずっと顧問の先生のことが頭をよぎっていた。

そして、やっとの部活の時間。 新しい顧問の先生が部室に入ってきた。

「こんにちは、新しく来ました。桜田真紀です。よろしくお願いします」

クールで、きれいな印象の先生だった。

部員たちは、まさかの崎原先生が本当に移動したことに、まだ茫然としていた。

でも、桜田先生はすぐに「一回合奏やってみよっか」と言ってくれた。

音を出してみると、先生はすごく褒めてくれた。

「いい音でてるね」

「バランスも悪くないです」

思ったより優しい…? そのギャップに、少しだけ安心した。

私たちが合奏した曲に歌う場面があって、
「みんな、なんか歌うまいね!!」

「私、声楽を専門でやってきてーー」

桜田先生はかわいくてフレンドりーだった。

それでも、何日か経って迎えた桜田先生との吹奏楽フェスティバル。

本番間近になっても、みんなが桜田先生にまだ慣れていなくて、 練習もどこかぎこちなくて、式と音が合わないことが多かった。

本番は、無事には終わったけれど、 どこか“音が揃っていない”感じが残った。
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