無敵なお嬢様はだまっていられない! 〜問題児な執事4人を、私がまとめてプロデュース!?〜
迎えた合同演習当日。
学園のサロンは、まばゆいシャンデリアの光が降り注ぎ、大勢の令嬢たちと講師陣の視線が集まっていた。
空気は、いつも以上に張りつめている。
月に一度の合同演習。
なのに――毎回この緊張感はすさまじい。
完璧令嬢の仮面を被って平静を装っているけれど、正直に言えば、私の心臓も今、バクバクと暴れていた。
そんな私の隣で、執事服に身を包んだ嵐くんはというと――。
「……お、おい。お嬢……。みんなが俺のこと『あいつ、絶対皿割るぜ』って目で見てる気がするんだけど……」
大きな身体を縮こまらせて、嵐くんの手はさっきから小刻みにプルプルと震えている。
せっかくの執事服が台無しになるくらいのガチガチっぷりだ。
「あらあら、雪城さん」
カツ、カツ。
優雅な靴音とともに現れたのは、椿さん。
今日も完璧な縦ロールを揺らしながら、隣には非の打ちどころのないエリート執事――一条くんを従えている。
「そんなに怯えた猛獣を連れて、一体何をなさるおつもり?」
椿さんが扇子で口元を隠し、くすりと笑った。
「そのクラッシャーさんに、学園家宝の銀食器を持たせるなんて……。もしかして、今日を最後に退学する自分への、セルフ送別会の余興かしら? オーホッホッホ!」
椿さんの取り巻きたちからもクスクスと笑い声が漏れる。
嵐くんの肩がピクッと跳ねて、視線がさらに床へと落ちていく。
「……っ。椿さん、余興かどうかなんて、結果を見てからおっしゃってください。私の執事は、そこらのお人形さんとは鍛え方が違うんですから!」
そう言い返したものの、嵐くんの震えは止まらない。
そのとき。
『次のペア、サロンへお進みください』
アナウンスが流れた。
いよいよ、私たちの番だ。
嵐くんの緊張は、ついに限界まで高まっていた。
「……無理だ。お嬢、俺、指先の感覚がねーよ。持った瞬間に握りつぶしちまう……っ」
その時。
私は、彼の大きくてゴツゴツした右手を、両手でギュッと包み込んだ。
「はっ!? お、お嬢……!?」
嵐くんが弾かれたように顔を上げる。
私の小さな手からはみ出すくらいの大きな手は、氷みたいに冷たくなっていた。
「いい? 嵐くん。私の目をまっすぐ見て」
私は、彼にしか聞こえないような小さな、でも一番力強い声でささやいた。
「この前のリボン、思い出して。あのとき、私の髪に触れたあなたの指先は、誰よりも優しくて、誰よりも繊細だった。……私、あのリボンを結んでもらって、本当に嬉しかったんだから」
「…………っ」
「あなたの筋肉は、壊すためのものじゃない。私を守り、喜ばせるための……世界一かっこいい盾なの。自分を信じなさい。……ううん、私が見込んだ、あなたのポテンシャルを信じて!」
握った手に、ぐっと力を込める。
すると、嵐くんの瞳に、少しずつ、力強い光が戻ってきた。
「……お嬢。……手、熱すぎなんだよ、バカ」
嵐くんは照れ隠しにそっぽを向いたけれど、その手はもう震えていなかった。
代わりに、私の手を力強く握り返してくれた。
「……わかったよ。見せてやる。俺とお嬢が、ただの『余興』じゃねーってことをな!」
サロンの扉が開く。
熱気と銀食器のぶつかり合う音が響く中、私たちは並んで一歩を踏み出した。
学園のサロンは、まばゆいシャンデリアの光が降り注ぎ、大勢の令嬢たちと講師陣の視線が集まっていた。
空気は、いつも以上に張りつめている。
月に一度の合同演習。
なのに――毎回この緊張感はすさまじい。
完璧令嬢の仮面を被って平静を装っているけれど、正直に言えば、私の心臓も今、バクバクと暴れていた。
そんな私の隣で、執事服に身を包んだ嵐くんはというと――。
「……お、おい。お嬢……。みんなが俺のこと『あいつ、絶対皿割るぜ』って目で見てる気がするんだけど……」
大きな身体を縮こまらせて、嵐くんの手はさっきから小刻みにプルプルと震えている。
せっかくの執事服が台無しになるくらいのガチガチっぷりだ。
「あらあら、雪城さん」
カツ、カツ。
優雅な靴音とともに現れたのは、椿さん。
今日も完璧な縦ロールを揺らしながら、隣には非の打ちどころのないエリート執事――一条くんを従えている。
「そんなに怯えた猛獣を連れて、一体何をなさるおつもり?」
椿さんが扇子で口元を隠し、くすりと笑った。
「そのクラッシャーさんに、学園家宝の銀食器を持たせるなんて……。もしかして、今日を最後に退学する自分への、セルフ送別会の余興かしら? オーホッホッホ!」
椿さんの取り巻きたちからもクスクスと笑い声が漏れる。
嵐くんの肩がピクッと跳ねて、視線がさらに床へと落ちていく。
「……っ。椿さん、余興かどうかなんて、結果を見てからおっしゃってください。私の執事は、そこらのお人形さんとは鍛え方が違うんですから!」
そう言い返したものの、嵐くんの震えは止まらない。
そのとき。
『次のペア、サロンへお進みください』
アナウンスが流れた。
いよいよ、私たちの番だ。
嵐くんの緊張は、ついに限界まで高まっていた。
「……無理だ。お嬢、俺、指先の感覚がねーよ。持った瞬間に握りつぶしちまう……っ」
その時。
私は、彼の大きくてゴツゴツした右手を、両手でギュッと包み込んだ。
「はっ!? お、お嬢……!?」
嵐くんが弾かれたように顔を上げる。
私の小さな手からはみ出すくらいの大きな手は、氷みたいに冷たくなっていた。
「いい? 嵐くん。私の目をまっすぐ見て」
私は、彼にしか聞こえないような小さな、でも一番力強い声でささやいた。
「この前のリボン、思い出して。あのとき、私の髪に触れたあなたの指先は、誰よりも優しくて、誰よりも繊細だった。……私、あのリボンを結んでもらって、本当に嬉しかったんだから」
「…………っ」
「あなたの筋肉は、壊すためのものじゃない。私を守り、喜ばせるための……世界一かっこいい盾なの。自分を信じなさい。……ううん、私が見込んだ、あなたのポテンシャルを信じて!」
握った手に、ぐっと力を込める。
すると、嵐くんの瞳に、少しずつ、力強い光が戻ってきた。
「……お嬢。……手、熱すぎなんだよ、バカ」
嵐くんは照れ隠しにそっぽを向いたけれど、その手はもう震えていなかった。
代わりに、私の手を力強く握り返してくれた。
「……わかったよ。見せてやる。俺とお嬢が、ただの『余興』じゃねーってことをな!」
サロンの扉が開く。
熱気と銀食器のぶつかり合う音が響く中、私たちは並んで一歩を踏み出した。