クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
男子も女子も、派手目な子が多くて、正直怖い。
でもみんな地味な私のことなんか目もくれないし、きっと「こんなやついたっけ?」くらいにしか、思っていないかもしれない。
でも、私はそれで十分だった。
「ハナコー、あんた何読んでんのー?」
突然近づいて来たその声に、私はびくりと肩を震わせる。
そして、恐る恐る、顔を上げた。
「…えと…その…」
女子のリーダー的存在の中里(なかさと)さんを前に、私は頭が真っ白になる。
「朝っぱらからこんなの読んで、優等生気取り?」
「あっ!」
読んでいた本を取り上げられて、私は反射的に席を立った。