英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「真っ先にマウントを取りたかったんだろうな。開口一番、アレクシアはこう言った。

『体を壊したために妃候補を辞しただなんて、とんだ大嘘ね。王太子に相手にされずに逃げてきた、お古の負け犬じゃない!』

……とかなんとか」

「ひぇぇっ!」

 あまりに衝撃的な内容に、不自然な姿勢で仰け反った。女性としての価値を貶めるなんて、そんな暴言、謝っても許されるものじゃない。きっと一発でアウトだ。

「そんなわけで、おまえは退場させられ、食堂には出禁になったというわけだ。気をつけたほうがいいぞ、姫が連れている侍女たちが殺気立っていたからな」

(どうりで、領主夫人という立場なのに、部屋食ばかりでおかしいと思ったのよ……お客様をまともにもてなせない妻は、表舞台から締め出されたというわけね)

 今のところは先方と直接顔を合わせずに済んでいるが、大がかりな橋の修復にはまだしばらく時間がかかるという。
 果たしてこのまま平穏無事に過ごすことはできるのか。またひとつ、肩の重荷が増えた気がした。

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