英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 否、ほんとうはそんなに褒められたものじゃないことはわかっている。この国では階級により、女性に求められる役割や、施される教育が根本からして違う。
 職能が合致したのは、たまたま。けれど優しい夫が、心底感心したとばかりに褒めてくれるので、素直に嬉しくなってしまう。

「有能な妻がいてくれると助かるものだな……。この分なら、屋敷全般の管理と使用人の監督を君に任せても問題はなさそうだ」
「はい、もちろんです!」

 それは本来、領主夫人が夫を支えるべく担う、内部責任者としての要務だ。
 目標としていたものに手が届き、承認欲求が満たされるのを感じる。すべてが順調で、今ならなにをしてもうまくいくような気さえしていた。


 そんな中、恋人になりたての時期に由来する事故もつきもので――。
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