英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 本当は、こんなかたちで幸せを手放したくなんてない。

 ルシウス様のよき妻となり、子どもをつくり、よき母となって温かい家庭を築いていきたかった。

 もっとたくさんの幸せな思い出を、あなたと重ねていきたかった。

 けれども刺客として嫁いだようなわたしには、どのみち愛される資格がない――だからこそ、焦がれる思いをしまい込み、戦うべき相手と向き合うことを決めたのだ。

 計画を崩された王太子は、わたしを睨みつけると早口に罵り、脅しにかかった。

「愚か者め。公国へ行けばおまえの命はない。本当のことを言ったほうが身のためだぞ!」

「ならば言わせていただきますが、ルシウス様にあらぬ罪を被せようとするのはおやめください。臣下に嫉妬し罠にはめようとするなんて、恥ずかしいと思わないのですか? それも自分が捨てた姫をけしかけて」

「なっ、なにぃ……!?」
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