英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 ロキ君が部屋を出ていったあと、テーブルに向かい、ひとりで朝食をとった。

 温かいスープに焼き立てのバターロール。ふわふわオムレツとパリッとしたウインナーに新鮮野菜を添えて。
 こんな贅沢な朝食、貧困に喘いでいた父との生活で味わえた試しがない。泣きたくなるほど美味しかったが、どうしてか味気なくも感じてしまう。

(わたしがロキ君くらいの年齢だった頃は、家族三人で、こんな朝食をとったこともあったっけ……)

 おぼろげにしか思い出せない、過去の家族の面影が頭の奥を掠めていった。

 向き合うべき新しい生活には問題が山積みで、気が重い。アレクシアが悪事を働いたすべての人に謝りたいけれど、上辺だけ取り繕っても受け入れてはもらえないだろう。

 どちらにせよ、まずは自分自身と己を取り巻く状況について、詳しく知ることが急務だ。

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