英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
(下品で低俗……)

 ガーンと鐘を打ち鳴らしたようなショックが、頭の中にこだました。今日一日の出来事でだいぶ打ちのめされていたというのに、弱り目に祟り目である。

 がっくりと背中を丸めて部屋に入ってすぐ、もう限界とばかりに手近な椅子に腰かけた。

 痛む足からハイヒールを脱ぎ去ると、案の定、靴擦れを起こしている。踵の皮が擦り剝けていて、このままお風呂に入ったら沁みそうだ。

 それでなくても、しばらく動く気にはなれなかった。気持ちも体も、ずっしりと重く感じる。

 よくわからないけれど、むしゃくしゃした気持ちが沸き上がってきて――ちょっとだけ、感情に任せて泣いた。涙は流しておいたほうがいい。でないと心が詰まってしまうから。
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