義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
すでにグラウンドには多くの生徒や先生が集まり、笑い声や話し声があちこちで飛び交っていた。
体育祭用のテントが立ち並び、カラフルなうちわや水筒を手にした生徒たちが思い思いに過ごしている。
開会式までは自由時間。
周囲の子たちが楽しげに談笑する中、私はどこか落ち着かない気持ちで辺りを見回していた。
探していたのは、兄――咲夜。
けれど、どこにも姿は見当たらない。
小さくため息をついたそのとき。
「唯さん」
後ろから呼びかけられて振り返ると、そこには流斗さんがいた。
いつもと変わらない優しい笑顔に、胸がざわめく。
「流斗さん……」
そう、本来なら私はこの人を探すべきだ。
兄のことなんて放っておいて。
私は無理やり笑顔を作った。
「今日は、どの競技に出るんですか? 応援しますね」
「うん。そうだな、ぜひ応援してほしい。借り物競争と綱引きと二百メートル走、だったかな」
「わかりました、楽しみにしてます」
そう言いながらも、ふと兄のことが頭をかすめる。
どの競技に出るんだろう……。
もし姿を見かけたら、きっと応援してしまう。
――その気持ちは、止められない。
「あ! あれ、咲夜さんじゃない?」
蘭の声に、心臓がひときわ強く跳ねた。
反射的にぱっと顔を向ける。