行き倒れ騎士を助けた伯爵令嬢は婚約者と未来の夫に挟まれる




 フレンが過去から戻ってきて数年後。

「お父様~!お帰りなさい!」
「コラ、そんなに急いで走っては危ないっていつも言っているでしょう、全くもう。お帰りなさい、フレン」

 子供たちを呆れたように眺めてから、アリシアはフレンへ嬉しそうに微笑みを向ける。そしてフレンもアリシアと子供たちを心底愛おしいという目で見つめながら微笑んだ。

「ああ、ただいま、アリシア。俺の可愛い子供たち」

 フレンは足元に駆け寄ってきた双子をヒョイッと両手にそれぞれ担ぎ上げる。一人は金髪にアパタイト色の瞳の可愛らしい男の子、一人は綺麗な黒髪にルビーの瞳の聡明そうな女の子だ。
 子供たちはフレンの顔にスリスリと頬を擦り寄せた。フレンは嬉しそうに頬を擦り返し、そんな三人をアリシアは嬉しそうに見つめていた。




「もう寝たのか?」
「絵本を読んであげたらあっという間に。あなたに久しぶりに会えて、二人とも嬉しくてきっと興奮していたのね」

 夜になり、子供たちを寝かしつけて自分たちの寝室に戻ってきたアリシアは、執務室から戻ってきたフレンにそう言って嬉しそうに微笑む。フレンが戻ってきたのは任務へ旅立ってから二週間後だった。

「俺も、二人に会えて嬉しかったし、アリシアに会えて喜びのあまり興奮してるよ」
「フレンが言うとなんだか違う意味に聞こえるわね」
「そのままのことだけど?」

 フッとフレンは笑って、アリシアの髪の毛にそっと手を伸ばす。髪の毛を耳にかけてから、頬をそっとなぞった。

「こんな幸せな日々が来るなんて、本当に奇跡みたいね」
「そうだな、あのフードの露店商は結局何者だったのか……」

 あれ以来、あのフードの女性には一度も出会っていない。まるで神様のようだ、とフレンは思う。神の気まぐれで、自分は生き戻り、愛する妻と子供たちとこうして生きていられるのだ。

「なんにせよ、俺はこの生きながらえた命をこれからも精一杯生きて、アリシアたちを愛し守っていく」

 そう言って、フレンはアリシアにそっと口付けた。顔を離すと、アリシアが幸せそうな微笑みを浮かべフレンを見つめている。

「……きゃっ」

 フレンはヒョイとアリシアを担ぎ、ベッドまで連れて行く。

「久々なんだ、たっぷり愛させてもらってもいいだろ?」
「お手柔らかにお願いします」
「善処するよ、約束はできないけど」

 フレンの言葉に、アリシアはフフッと笑う。そんなアリシアをフレンは心底愛おしいという瞳で見つめ、アリシアに覆いかぶさった。

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