俺が、私で、アイドルで - 秘密を抱いてステージへ
第6章:脅威と動揺
窓の外に、桜がまだらに咲いていた。
スタジオに入ると、いつもと変わらない声が響く。
「今日も始めるぞ。立ち位置から確認だ」
蒼は黒いスウェット姿で淡々と練習に取り組んでいた。
――そういえば、もう卒業したんだっけ。
学校帰りに制服のまま来ることもあったけど、それももうない。
式の翌日から、彼は当たり前のようにここにいる。進学はせず、芸能活動一本でいくと決めたらしい。
瞳はペットボトルを握りながら、その背中を見つめた。
――蒼は、もう学生じゃない。
――私も、そろそろ腹を括らないと。
「レイ、集中しろ」
名前を呼ばれ、はっと我に返る。
「……わかってる」
音楽が流れ出す。
春の空気は少し甘くて、それでも背筋を伸ばすには十分だった。
◇◇
春休み明け。街の本屋に立ち寄ると、芸能誌の表紙に自分たちの写真が並んでいた。
――Bluebell Boys、急上昇中のニューフェイス。
文字が目に飛び込んできて、瞳は思わず視線をそらした。
テレビ出演も増えた。バラエティ番組で、ヒナタが天然ボケをかまして笑いを取る。ユウキが冷静なコメントでMCに褒められる。アオトはリーダーらしく締めの言葉をきっちり決める。
そしてレイ――瞳はまだ不器用ながら、真面目さと誠実さで「クール担当」として固定されつつあった。
SNSには、「レイの声が好き」「アオトに安心感ある」「ヒナタ癒し」「ユウキの言葉刺さる」といった投稿が絶えない。
電車の中で、隣の女子高生がスマホでBluebell Boysの切り抜きを見ているのを見て、心臓が跳ねたこともあった。
スタジオに入ると、いつもと変わらない声が響く。
「今日も始めるぞ。立ち位置から確認だ」
蒼は黒いスウェット姿で淡々と練習に取り組んでいた。
――そういえば、もう卒業したんだっけ。
学校帰りに制服のまま来ることもあったけど、それももうない。
式の翌日から、彼は当たり前のようにここにいる。進学はせず、芸能活動一本でいくと決めたらしい。
瞳はペットボトルを握りながら、その背中を見つめた。
――蒼は、もう学生じゃない。
――私も、そろそろ腹を括らないと。
「レイ、集中しろ」
名前を呼ばれ、はっと我に返る。
「……わかってる」
音楽が流れ出す。
春の空気は少し甘くて、それでも背筋を伸ばすには十分だった。
◇◇
春休み明け。街の本屋に立ち寄ると、芸能誌の表紙に自分たちの写真が並んでいた。
――Bluebell Boys、急上昇中のニューフェイス。
文字が目に飛び込んできて、瞳は思わず視線をそらした。
テレビ出演も増えた。バラエティ番組で、ヒナタが天然ボケをかまして笑いを取る。ユウキが冷静なコメントでMCに褒められる。アオトはリーダーらしく締めの言葉をきっちり決める。
そしてレイ――瞳はまだ不器用ながら、真面目さと誠実さで「クール担当」として固定されつつあった。
SNSには、「レイの声が好き」「アオトに安心感ある」「ヒナタ癒し」「ユウキの言葉刺さる」といった投稿が絶えない。
電車の中で、隣の女子高生がスマホでBluebell Boysの切り抜きを見ているのを見て、心臓が跳ねたこともあった。