俺が、私で、アイドルで - 秘密を抱いてステージへ
第8章:自分らしさを貫いて
 夕暮れの公園。ランプの上に立ち、瞳はデッキを蹴った。
 宙で板をひねり、足を戻す。――カチリ、と音を立てて四輪が地面に着いた。
 完璧な着地。

「おおー!」
 壮馬が大げさに手を叩く。
「決めやがったな、ヒトミ!」

 楓も小さく笑って、頷いた。
「さすが。昔から、ここぞってときは強いんだな」

 瞳はデッキを拾い上げ、息をついた。
「……まあ、たまにはね」

 壮馬が少しだけ表情を引き締める。
「正直、心配してた。ネットでいろいろ言われてただろ。女っぽいとか、変な噂とか……。でも、今日見たら思った。お前、全然大丈夫そうだな」

 楓も頷く。
「うん。テレビ見たけど、自然にやれてるみたいだし。……だから、俺たちは安心して応援できる」

 胸の奥が熱くなった。
 ――からかうだけだった二人が、こんなふうに言ってくれるなんて。

「……ありがと」
 声が少しだけ震えた。
「ほんとに、ありがと」

 夕陽が沈み、街の灯りが点り始める。
 その光に照らされながら、瞳はデッキを抱えた。
 ――私には、味方がいる。
 その事実が、何より心強かった。
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