私とキミたちとの調和
Episode4~始発の夜行列車~
こんなわくわくするメッセージに、俺は詳しく聞きたいと、穂川さんがバイトしている場所と学校の間にある、ファミレスに集合することになった。
「奏響、慧、優!こっちだよ!」
向こうの席で穂川さんが手を振っているのが見えた。
「バイトおつかれ。飴いるか?」
「ありがと、慧。甘い飴が染み渡るわ。」
慧って、冷たいようで意外とマメなやつなんだよな。慧には双子の妹がいるからな、本当は妹用のだろうな。
「とりあえず、なにか頼むか?」
「せっかくだからね〜!ドリンクバーは必須でしょ。あとはね」
各自好きな物を注文した。穂川さんは、写真撮るの好きと言っていたな、さくらんぼパフェの写真を撮りまくっていた。
「パフェうま。」
「パンケーキふわふわだ〜」
優はともかく、穂川さんが甘いもの好きなんて、ちょっと意外。
「んで?ライブハウスでライブって、どうしてそんな話になったんだよ。」
「3週間後と言ったら、月末の土曜日だね!」
「SiNSilentって名前のライブハウスで私バイトしててね。」
「へ〜!SiNSilentってここら辺だと、有名なライブハウスじゃん。やるね〜!」
「兄貴も出たことある、ライブハウスじゃんか。」
「まーね。バンドの勉強したかったし、求人見つけて即座に応募しに行ったわ。」
「ははっ!なんか穂川さんらしいね。」
「そこのオーナーである、秦さんって人が1枠のバンドが出られなくなっちゃったんだよ……って言ってたから、店長に相談したら1週間後の審査に合格したら出してくれるってさ」
そこまで取り付けてくるなんて、本当穂川さん頼りになるな。
「おー!審査してから決めるなんて、ちゃんとしてるライブハウスだね!」
「井間、ビビってるのか?」
「まっさか〜」
優、慧もノリノリだな、ほぼ練習漬けだったし、穂川さんが作った曲の完成度も悪くないから披露するにはちょうどいいタイミングしれないな。
「ライブハウスのライブに参加するのはいいけど、ノルマも発生するから、チケット売るためにさ。この近くの駅前でさストリートライブ宣伝的にやらない?」
穂川さんの提案かなりいいな。この近くの駅前は、フリーステージがあって、そこの看板には、ライブ・音出しOK!!って書かれた看板が堂々と立っていた気がする。
「学校の友達とかを誘うのもありだけど、やっぱりファンは作っていかなきゃだしさ。
少し盛り上がりそうな曲、2曲作ってみたんだ
聞いてみてよ。」
2曲も作ったのか、穂川さんの音楽に対する熱はすごいな。
穂川さんがグループメッセージに送られてきた、曲を確認してイヤホンを耳につけて、音楽を再生する。前のアップテンポの曲とは違い、バラードな感じだな。
聞いた感じともらった楽譜を見ると、そんなに難しい感じの曲じゃないから、すぐできそうだ。
駅前でやる曲的にも、ゆったりしててあまり曲の時間が長くなくて良さそうだ。
「この曲ならいけそうだな。」
「な!いいよな!」
こいつ見かけによらないやつだよな。
「ふふ、今練習してる3曲もいいけど、この曲たちもいいよね!」
「電車に乗ってる時とか、帰り道に聴きたくなるな。」
慧と優もいい反応だ。これはやることが決定したな。
「タイトルはTRAIN MOON'sとShady ShiC」
「いいな、通行客が足止めてくれそうだな。」
「皆ストリートもライブハウスのライブ賛成ってことだね?」
「「「もちろん!」」」
「なら、明日申請しておくね〜」
その為には、明日からまた猛練習だな!その後、解散して家に帰って、飯食ったら、少しベースを弾こうと思ったら、穂川さんの新曲が良すぎて、楽しすぎてしまった。
「俺も穂川さんのこと、からかえないな。」
穂川さんの曲って、楽器弾いてる側も盛り上がるんだよな。ベースはベースが魅力になるようになっているし。
穂川さんが子供の頃から音楽が好きだという気持ちも、努力が伝わる。
『僕もイメージ溢れて、雑誌叩くのやめらんない』
『キーボードのアレンジ考えてるとこ』
『アコギ、猛特訓中!!』
3人のグループメッセージに「負けてらんねーんだよな。」と寝る前なのに燃えてきた。
俺は今、電子ピアノを使ってるんだが、シンセサイザーに最近興味ある。
メンバーが来るまで、曲アレンジの参考になりそうな動画を観ていると、最近の楽曲はシンセを取り入れてる曲もあるし、穂川の曲調とマッチして良さそうだなと感じた。
「あれ、今は慧だけなんだ?」
「穂川か。アホ田は先生の手伝い。井間は生徒会に呼ばれたらしい」
「ほうほう、さすが2人とも人気者だ。」
こいつのファンクラブが出来たの知らんのか?まぁどうでもいいか。
「何の動画、見てんの?」
「これだ。」
「閃光、だね?BLACKMIWBSの」
「このバンドはシンセサイザーがいいから、シンセに興味あるんだ。」
「お、シンセか…いいね。」
MADE MELODYとかLAMPにも特に使われてるし。
「俺もあったら、曲の幅広そうだからな。でも買うと高いんだよな。」
「まぁ、楽器は高いからね」
「買うのはいいが、まずは試すだけでもいいんだよな。」
「そうだ!シンセに興味あるなら、いい場所があるよ!あそこは値段もお手頃だし。たまには部室以外でやるのも、いいかもね」
「いい場所とは、どこだ?」
「お、空きもあるからちょうどいい。どこかは行ってからのお楽しみ。」
よくわからないが、穂川ならいい案来そうだ。井間が生徒会から戻ってきて、春田も戻ってきた。
「あれ?練習しないのか?」
楽器すら出してないからな。
「するけど、たまには部室じゃないとこもいいかなってさ!」
穂川について行くとSLYiLLと書かれたライブハウスらしい。
「ここはね、楽器をレンタルすることができるライブハウスなんだよ!」
「へぇ、そんなところあんのか。」
確かにお店に備えてある、案内表を見ると学生でも払える値段だ。休日はバイトしてるし、なんとかなりよさそうだ。
「気になる楽器を試したいとか、次のライブで使いたい時はこのライブハウスか楽器レンタルしてくれるところも意外とあるよ?
楽器レンタルのお店のサイトURL、いくつかグループメッセージに送っとく。」
「おー、なるほどー!さすが、きぃちゃんだね!」
「部長、ここでは練習もできます!やりませんか!?」
「僕も、ここ色んなシンバルあるみたいだからやってみたいは〜」
ここまで来たら、引き返すなんて時間持ったいねぇもんな。BLACKMIWBSの閃光やLAMPみたいなことが貯めせるなんて。
ーーーシンセ、すげー楽しみだ!
慧と2人きりの部室は新鮮だった上に、慧がシンセに興味あるなんて、知らなかったな。慧ってあんま喋るイメージもないから。
でも分かるな、私も動画見てると欲しくなるものだよね。アンプやらエフェクターが欲しくなるからな。
バンドやっている人あるあるだよね。シンセを早速TRAIN MOON'sとShady ShiCの楽譜に取り入れたよ。
いいな。曲が進化していく過程ってこんなにわくわくするなんて初めての感覚だ。
私の提案でSLYiLLに行けたし、あのお店のモダンで温かみがあって、どなたでもどうぞと言っているような雰囲気が好き。
初めて来る人も来やすいと思う。
このライブハウスは気になった機材とかあったら、私もよく来るけど、結構最新とかの取り揃えめっちゃいいし、しかもお手頃過ぎて、私の中で潰れないでほしいライブハウスの一つである。
「奏響は、そのアンプとエフェクターかいいね!」
「前から気になっていたんだよ。」
お母さんとお父さんが音楽に理解があって助かるんだよね、たまに幸運が舞い降りることがあるのよね。
「アコギ用のエフェクターもやっば。」
見た目もこの感じもいいな。エレキとベースのエフェクターあるけど、アコギのエフェクターは持ってなかったんだよね。
「シャンシャーン!シンバル取り付けと設置完了、僕は準備OKだよ!」
「俺はいつでも。」
2人も一見じゃわからない、密かな炎が伝わるよ。いい意味でほんとバカの集まりだよね。
「よし、俺もいける!」
「私はもうスタンバってる!」
「んじゃ、まずShady ShiCとTRAIN MOON'sから!カウント行っくよー!」
優のドラムカウントがアイズして、私はアコギを繊細さを気にしながら弦を揺らす。
1曲目のShady ShiCからアルペジオを大事に弾く。慧が夜風が吹くイメージを連想させる。優のドラムは控えめにシンバルとスネアを鳴らし、奏響のベースが夜の影の重さを支える。
「風が心地いい、涼しくて。
穏やかな気持ちに
僕は休みたくなる。
立ち止まって、下を向いて。
雨がしとしとと降り出してしまった
傘がなくて、雨やどりをした。
屋根の下で、どんよりとした感情が
この雫達が晴らしてくれているのかもしれない。
少し時間が経てば
あの雲は溜めた水を出し切って
そっと曇り間から陽がさした。
その陽は温かくて、
上をその光を見たら
空は輝いていた。
同時に僕の心まで
晴れにしてくれた。
この力が、僕を前を向く強さになる。」
慧がこのライブ前にシンセに興味を出してくれてめっちゃいい。私は今ながらに感動している。
ラスト2曲目のTRAIN MOONs。
「慧のピアノの音が駅であるとわかるいい雰囲気にしている。ドラムのスネアを叩くリズム、ベースが支える感じがばっちり。」
私も負けないように、アコギでレトロ感をエフェクターを踏んで、より夜の分域を出す。
「深い夜を、まだ上着が外せない。
光が来て、電車が来たとわかり
扉が開いたから、空いている席に座る。
ガタンゴトンと進んでいく電車。
疲れた夢にうたた寝を委ねて
進む道は暗くて、遠い。
でもきっとあの月は
僕の頑張りを見ている
キミを輝かせるスポットライトを
浴びせることを 待ちわびている。
今はまだおやすみと寝ているだけ。
明日は元気な空へと導いた
だから、もう大丈夫。」
BlueStaR L!neЯは…この2日間のフリーライブはどんな感じな星を描いてくれるんだろうか。
「なんか聞こえるね?」
「本当だ、あ、あそこだ!」
「人が意外といるねー!」
「素敵…すごく惹かれる曲ね。」
「あ、見て!1週間後、ライブやるらしいよ!」
「チケットのお金、ここにいれるのかな?」
「みたいだね、来週行ってみようよ!」
芽衣のセンス最高のチラシと優の案である看板を立てたおかげもあるな。
ー前日ー
「え!明日と明後日、煌夏たちライブやんの!?」
「その日予定が…言ってくれれば行きたかったのに。」
美紅と芽衣がそんな落ち込んでいる顔されるとは思わなくて
「次はライブハウスでやるから、来週の土曜あるよ。」
「来週か、神!空いてるわ!」
「私も〜!」
じゃあチケット取っとかないとな。
「あとはチラシ作んなきゃな」
「チラシがいるの?」
「宣伝してチケット売ってお客来ないとペナルティあるからね。」
「もし良かったら、チラシを私にやらせてくれないかな?」
芽衣からの案を有難く、お願いすることにした。
「これはなに?」
「この看板は生徒会から借りたんだ!文化祭とかによく使うらしいんだけど、フリーステージに看板立てて、樋野さんが作ってくれるチラシをここに入れといたら、通行人の人がとりやすいかなって!」
優の案も採用した結果、2日間やったストリートライブは大成功だ!
「シンセレンタルしたの、取り入れてよかったね?」
「あぁ、穂川のおかげだ。サンキュ!」
「僕もこの前のシンバルめっちゃ良くてさ、欲しくなっちゃって、さっきポチッとバイト代奮発しちゃった♪」
「私も、アコギのエフェクター買った」
「俺もアンプを」
「くそっ、俺もバイト貯めて絶対シンセ買う。」
こんな楽しいバンドで嬉しい。
SiNSilentのライブ権限を得るための審査をオーナーの藤浪 秦(ふじなみ しん)さんから合格をもらい「かなり良かった」と高評価の太鼓判を押してもらい。
ライブハウスでライブをする権利を得られた。ここでライブしたいという目標が達成できてやばいくらい嬉しかった。
芽衣と美紅にもチケット渡した、ノルマのチケットもストリートライブをやったおかげでチケットは売りきった。
あとは全身全霊で歌って、ギターを弾くだけというここまでが凄すぎる。部屋に帰って、棚に買ったアコギ用のエフェクターを棚に入れる。
エレキのエフェクター、BOSS DS-1とBOSS DD-8、Electro-Harmonix Small Cloneの3種類持ってるけど。
アコギのエフェクターはこのBOSS AD-2が初めてだ。TC Electronic BodyRezと迷ったけど、次は絶対買う。
「うーん。バンドグッズの置き場をそろそろ増やさないとな。楽譜や資料本、アンプ、弦、エフェクターが増えたな。」
中学の頃はそんなになかったけど、バイトしてることもあって、今は棚にぎっしり。
でもお父さんからもらった、エレキのFenderとアコギYamaha FG700S。お母さんからのベースはまだ現役の私の相棒である。
これからも増えるだろうから、棚増やそう。
ライブも大事だけど、ライブ後の2週間後は定期テストが待っている。
勉強は宿題とかそのくらいで、そんなにしないけど試験前くらいはやる。休み時間はギターを触ってたけど、今は勉強にシフトしてる。
ま、夏休み前に提出もあるしね。毎日コツコツが大事。音楽と同じ。
その代わり夏休みは、音楽三昧にするからなにも問題ない。
「最近きぃちゃん教室にいるね?」
「優は頭良さそうだ。」
「え、何が?何のこと?」
気になった優が私の机に来た。
「あ、数学の問題集。2週間後の定期テストのか、なるほどね。それで最近教室にいるのか!」
「優は察しがいいね。そういうこと。数学できないわけじゃないけど、少し苦手なんだ。」
「確かに他の基礎は出来てるね。あ、ここか難しいよね〜!ここはね!」
優はなにごともないかのように教えてくれた。しかも教師よりもわかりやすいとは、やっぱり優は頭良いんだな。
「ありがとう、わかりやすかった」
「いいえ〜!えらいね、きいちゃんは!いつでも僕に聞いていいよ!
あの2人にも見習ってもらいたい。」
優の言葉になんとなく察したけど……まさかね、と。私は聞かなかったことにした。
今はライブに集中したいから。
……To be continued