「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
その頃、晃太郎は珠子の家の前まで来て、迷っていた。
今日は仕事が終わるのが遅くなったから、寄るまいと思ったのに来てしまった。
こんな時間に寄っては迷惑だろうな。
せめて、一目顔を見たいが……。
このまま帰るか。
そう思ったとき、誰かが通りの向こうから歩いてきた。
すっきりとした長身で洋装のシルエット。
高平ではない。
二人は見つめ合い、沈黙した。
「やあ」
「ああ」
と声を掛け合う。
池田だった。
「……なにしてる?」
と池田が訊いてくる。