「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 毒婦という言葉は、明治のはじめにできた。

 芸者が自分を身請けしてくれた男が邪魔になり、毒殺した事件のせいでできた言葉だった。

 つかつかと派手な赤い洋装の女性がやってきた。

 髪も西洋風に巻いている。

 洋行帰りの人だろうかという感じだ。

 珠子よりは小柄で、目元のきついその美人はいきなり、珠子の頬を張ろうとした。

 晃太郎がガッとその手をつかんだので、事なきを得たが。

 だが、尚も彼女は珠子を罵る。

「この毒婦がっ。
 私のフィアンセに手を出すなんてっ」

 二人はきょとんとした。
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