ルームNo.4を聴いた私の情緒


ほんの、ほんの、出来心だった。赤い部屋の4番目の扉を開けたのだ。もう引き返せるかもわからない藍紫へと引き摺り込まれ、扉は外側から錠をかけられる。
どろりとした譜に重なる少し掠れた色香の漂う歌声に洗脳された。
これは危険だと扉の方へ振り返れば扉は跡形もなく消え失せて、私は逃げられぬ事を察した。
進む他ない、この藍紫の部屋の奥まで。

歌声は私にまとわり染みになる。
毒のような回り方に寒気を覚えても尚、進む事をやめない私はもう思考が特異点を超えただろう。

この歌声に溺れたい
そんな思考にあざをつけられた私の足取りは軽く、部屋の奥へ奥へ進んで行く。
その間も歌声はおいでおいでと私をいざなって。
そして
部屋の最奥には簡素な扉があった。それはきっと出口に繋がる扉で、そこを開ければこの藍紫から解放される事は明白であった。
扉の前で立ちつくせば、譜も歌声もやみ、空気が澄みかける。

「嫌」

私は戻る、早足で
そして藍紫の毒香を一身に浴びた。
私が次に目を開け澄んだ空気を吸った時手の上の端末は暗黒で、赤い部屋も同時に消え失せていた。
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__________書き殴るのです! 私は喜び、悲しみ、切なさを書く事は容易いのですが、怒りの表現はどうにも乏しいのです。 文章を書き続けた16年、怒りを題材に作品を書いたことはありませんでした。 制服時代の私の小説はそれは表現が稚拙で読めたものではありませんでしたが、書ける事への喜びで一杯でした。 ですから、私は書き殴るのです。 この稚拙な怒りの文章が、大輪なる表現の一歩になるのですから。
ただの心の有り様ですから。

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