からかわないでよ、千景くん。


千景くんに好かれてる自信がない。

だって—— 千景くんは、人気者なんだもん。
綺麗な顔してるし、背も高いし。笑うと、ふわって犬みたいに可愛い。
クールかと思えば、意外と男女分け隔てなく優しい。


(そんな千景くんに、私が似合うわけない)


それに比べて私は—— いいところなんて、一つも思い浮かばない。
可愛くないし、スタイルだってよくないし。髪の毛は毎日爆発してるし。

趣味・特技は料理!なんて、面白味もない。


(千景くんの好きな子は、一体どんな子なんだろう…)



好きって気づいたばかりなのに、もう失恋—— そんな気持ちで、胸が重くなっていた。
でも—— 「なずなは、いつも通りでいれば大丈夫だよ!私のこと信じて!」
メガホン越しの志緒ちゃんの声が、心に響いた。



「好きって気づいたばかりなんだから、もうちょっと頑張ってみていいと思うよっ!」



その言葉に、胸の奥がじんわり温かくなる。


< 131 / 277 >

この作品をシェア

pagetop