からかわないでよ、千景くん。
「わー、ほんとにするとは思わなかった」
千景くんが驚いて、後ろに手をつく。でも、笑ってる。
私の心臓は、ドキドキでうるさい。耳まで赤くなってるのが、自分でも分かる。
「なずな、顔あげて」
「…ぃゃ…」
私は、千景くんの胸に顔を埋めたまま返事をした。
今、顔を見られたくない。たぶん、真っ赤だから。
「なーずな」
千景くんの優しい声。
教室のときとは違う、柔らかくて、あったかい声。
その声に、ドキッとして。
もう怒ってないんだって、少しだけ安心した。