悪夢の文化祭

悪夢の始まり

秋の文化祭。教室からは、クラスメイトの賑やかな話し声や、屋台の食べ物の香りが漂ってくる。

模擬店の呼び込みの声が聞こえるたびに、私の心は高揚感と、どこか不穏な予感でどくんと脈打った。
まるで、嵐の前の静けさ。その予感は、一瞬にして現実のものとなった。

「ギャアアアアア!」

校舎の奥から響いた、耳をつんざくような悲鳴。それは一瞬のことで、すぐに悲鳴は別の場所で連鎖するようにあがった。
廊下の向こうから、顔を恐怖に歪ませた生徒たちが我先にと走ってくる。何が起こったのか、誰もが理解するのに時間がかからなかった。
全身を黒ずくめの服に包み、能面のような白い仮面をつけた集団が、校舎に雪崩れ込んできたのだ。

彼らは「鬼」と呼ばれた。なぜ鬼なのか。それは、彼らがまるで鬼ごっこを楽しむかのように、私たちを追いかけ、無慈悲に殺し始めたからだ。

「キャァァァァァ!」

鬼の一人が、悲鳴をあげて逃げ惑う女子生徒に飛びかかった。
その手に持ったナイフが、女子生徒の腹部に突き立てられる。鈍い音がして、彼女のお腹が裂け、内臓がどろりと飛び出した。
彼女は床に倒れ込み、引きつった悲鳴をあげる。苦悶の表情で手足を痙攣させながら、しばらく悶え苦しんだ後、やがてぴくりとも動かなくなった。

あちこちで、同じような光景が繰り広げられた。鬼たちは私たちを追い立て、ナイフを振りかざし、そして狂ったように笑っていた。それは、ゲームを楽しむような、純粋な、そして恐ろしい笑みだった。

私は、息を潜めて物陰に隠れながら、ただひたすらに逃げた。廊下を走り、階段を駆け上がり、生きるために走った。
校舎の至る所に、血の海と化した惨状が広がっている。
私は、友人や知人が次々と鬼に殺されていくのを、ただ見ていることしかできなかった。

鬼に腹を刺されて倒れた男子生徒がいた。彼は、飛び出した腸を必死に押し戻そうとしていたが、鬼はそれを嘲笑うように、さらにナイフで切り刻んでいた。痛みに絶叫しながら、やがて声も出なくなって、彼は絶命した。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop