オレンジ色の奇跡

ふたりの想い



 身体同士が密着してふたりの心臓音が響きあう。

 どのくらいこのままでいたのだろうか……。

「…大丈夫か?」

 優しくて低い声が響き耳に意識が集中するのが自分でも分かる。

 岩佐先輩の腕の中は不思議なくらい安心する。

 だから『はい』と言ってしまえばこの腕の中から離れることになるだろう。
 なかなか『はい』と言えずにいた。

「……相川?」

 心配そうな声が降る。

 さっきは、下の名で呼ばれた気がした。
 でも今度は、名字。

 やはり、気のせいだったのだろうか……?

「…相川、大丈夫か?」

 再び、心配そうな声が降る。

 やはり心配かけてはならないと思い、密着していた身体を少し離し顔をあげる。

「…………はい」

「はぁー…。良かった…」

 あたしが少し戸惑いながら返事をすれば岩佐先輩は、安堵した表情を見せ、さらに強く抱きしめてくれた。

 離れた身体が引き寄せられたことに胸が踊る。

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