オレンジ色の奇跡


 しばらくして、パッと俺の方を見てから、

「先輩と一緒ならどこでもい」
「駄目だ。そんなこと言うだったら遊びに行かねぇからな」

「えー。だって……」

「いいから、早く決めろ」

 どこでもいいっていうのが一番困る。
 俺が行きたい所に行っても絶対舞希は楽しめない。

「…………あっ」

「ん?」

「隣町に新しくできた大型ショッピングセンターは?」

 目を輝かせながら俺を見つめる舞希はすごく楽しそうだった。

 その目はなんだか“一生懸命考えたんだから嫌だとか言わないでよね!”と言われてる感じ。

 嫌だとか言う気はないが、目が物を言うとはこういうことだろう。

「じゃあ、そこな」

「はいっ!」

 口元を緩めながら嬉しそうに歩く姿はとても可愛く抱きしめたいという衝動にかられたが、寸前のトコロで欲望を押さえた。


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