オレンジ色の奇跡


「「いとこ?!!!」」

 驚いて声を上げたのは、もちろんあたしと優衣で、金魚のごとく口をパクパクさせる。

 さっきの“どきり”は、案外間違ってなかったのね、うん。

「で?授業、サボってるんでしょ?先生、ダレ?」

「タツキ先生」

「ふーん。タツキ、かぁ」

 よ、呼び捨てっ?!!

 あたしたちがサボった授業は、長谷川樹(はせがわたつき)先生の生物なんだけど!

 またもや、ポカーンとしてるあたしと優衣に、

「私とタツキ、付き合ってるのよ」

 すらりと白く長い人差し指を唇に当てながら、爆弾発言。

 もちろん、最後に「秘密、ね?」を忘れずに付け加えて。

 先生と生徒の恋なんて、マンガとかドラマの世界だけだと思ってた。

「三人まとめて体調不良ってことでいいかしら?」

「「は、はあ…」」

 気の抜けた返事しかできないあたしたちに、ふんわりと微笑み「じゃ」と、保健室を出ていった。


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