Dear...
揺れる制服の上着。
響く靴音。



あたしはただ、なんとなく前を見ていただけ。


それなのに、その顔を、正面から見た瞬間——



ドクンッ——


あたしの時間だけが、ふっと止まった。



真っ黒い髪。
真っ黒い瞳(め)。



切れ長の目に鼻筋の通った、きれいな顔——



嘘でしょ……あたしが思い描いた理想の人が、現実に形になったみたいだった。



カッコイイ……。
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