貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜
「話戻るんだけどさ。その女の子と、次に会う約束はしたんだろ?」
卓上の料理があらかた無くなったところで、勇悟は思い出したように言った。
「してません」
「なに!? バッカおめー、正気か!」
なぜ、会う約束をしなければならないのだろう。
勇悟のことだから、口説けとでも言うのだろうか。
「正気ですよ。連絡先は交換しておいたので、やりとりはありますけど」
「おお、それはいい。どんな話してるんだ?」
「お互いの素性や、経歴を一通り伝え合いました」
「素性て!」
勇悟が、呆れてひっくり返る。
「私は彼女の家を知ってしまったわけですし、何者か明らかにしておいた方がいいだろうと」
打ち解けるためというよりは、明人なりの気遣いだった。
彼女はというと、前職と今の仕事について喜んで話してくれたが。
「なんで会う約束してねーんだよ! なにしてんだオマエ」
勇悟が、やかましく明人を叱り飛ばす。
「なんのために会うんです」
「お礼! お礼しなきゃなんねーだろ。本買ってもらったんだろ? お礼になんか贈るか、メシでも連れて行くとか」
「はあ……お返しをしないと気が済まなさそうだったので、もらいっぱなしでちょうどいいと思うんですが」
「やかましい! いいからお礼しろ」
「まあ、いいですけど」