あの日のチャイムが聴こえる。
ドキドキ!図書室!
噂の仲原くん。
同窓会である人を探してる。
あの日から、
ずっと会いたかった人。
忘れられなかった人。
今何してるの?
どこにいるの?
ずっと、聞きたくても聞けなかった。
一目でも、その姿を見ることが出来たら━━━━━━━━
私は、あの日から、
今日まで、貴方に心酔している私は、
ようやくあの中学校を卒業できる。
そんな気がしているのだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(2012年9月)
夏休みも開けて、気持ちを切り替えて新しい学期のスタート!かと思いきや、、、
そんな訳に行くはずもなく。
わたし、平根百合とその親友の赤西茜は徒歩15分ほどである中学校への道を項垂れながら歩いていた。
「あつい〜〜暑すぎる〜〜、、」
茜はおでこに張り付いた髪をはらいながら、
何かに潰されたような顔をして汗を拭う。
お決まりのお下げのツインテールも、
クーラーのある部屋から
追い出されて元気のないように見えた。
「ほんっ〜とに暑すぎる、、
お母さんが言ってた。
お母さんが子供の頃はこんなに
日本暑くなかったって。
24度の夏なんて日本どうなっちゃうの〜ってニュース見て怒ってたよ」
すると茜はふはっと吹き出して、
「ニュースみて怒るんだ、百合のママ。私のパパはニュースとか見ないなあ。朝早くて私が起きた頃には出てっちゃような人だし。」
茜はそういった後、(この話なしなくてよかったかも)とでも思っているようなバツの悪そうな顔をして、
そういえばさーと社会の担当の鈴木先生が結婚したらしい、という話を始めた。
茜の家にはお母さんがいない。
正確にはお母さんはいるけど、
今はお父さんとの二人暮しで一緒には住んでいない。
茜と私が小学校2年生の頃、私達の学校では茜のお父さんとお母さんが離婚したという話でもちきりになった。
というのも茜の家は家族みんな超の着くほどのラブラブ仲良し。授業参観とか、街のスーパーコイケヤであった時の様子からしてそうで、当時の私達にとって、それは衝撃的なニュースだったからだろう。
茜は今となっては元気そうに見えるけど、
実際今の生活のことをどう思っているんだろう━━━━━━━━━それは親友の私でも聞けないことだった。
「┈┈百合?」
そんなことを考えていると茜がキョトンとした顔でこちらを見てくる。
「ごめん、ちょっとぼーっとしてた!鈴木先生結婚したの?」
ハッとして返事をすると、そうなの、とうなづいて、こっちを見た。
「そうなの、しかも知ってる?その鈴木の再婚相手って、隣のクラスの仲原くんのお母さんっていう噂があってさー」
「仲原くん?」
仲原くんって誰だろう。
この中学に通って1年半が立とうとしてるけど、顔が直ぐに思い浮かばない。
隣のクラスなら、すれ違ったりすることはあるんだろうけどなあ。
「でさ、私さー」
茜は一点を見つめて、真っ直ぐな目をして言った。
「そんな他人の家の事で、みんながギャーギャー騒ぐのが嫌なの。誰のお母さんが誰と結婚しようが、なんでもいいのにね?」
と、茜がこっちを見る。
「まーー、私も気になって聞き耳立てちゃったんだけさ、」
とガハガハ笑った。
茜は優しい子だ。
スキャンダルとかそういうので盛り上がるクラスメイトとは違う。
いつも明るくて面白くて、クラスに馴染んでるのに、こういう話題には一線を引いている。私は顔も知らない『仲原くん』といつかの茜が重なって思えた。
「仲原くんって子、気にしてないといいけどね」
そう言って見上げた空は今日も晴天で、
小さい雲がちょこちょこ並ぶだけの、
綺麗な青だった。
私にとって忘れることの出来ない、あの人の瞳に出会う、人生最初の夏が始まろうとしていた。
あの日から、
ずっと会いたかった人。
忘れられなかった人。
今何してるの?
どこにいるの?
ずっと、聞きたくても聞けなかった。
一目でも、その姿を見ることが出来たら━━━━━━━━
私は、あの日から、
今日まで、貴方に心酔している私は、
ようやくあの中学校を卒業できる。
そんな気がしているのだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(2012年9月)
夏休みも開けて、気持ちを切り替えて新しい学期のスタート!かと思いきや、、、
そんな訳に行くはずもなく。
わたし、平根百合とその親友の赤西茜は徒歩15分ほどである中学校への道を項垂れながら歩いていた。
「あつい〜〜暑すぎる〜〜、、」
茜はおでこに張り付いた髪をはらいながら、
何かに潰されたような顔をして汗を拭う。
お決まりのお下げのツインテールも、
クーラーのある部屋から
追い出されて元気のないように見えた。
「ほんっ〜とに暑すぎる、、
お母さんが言ってた。
お母さんが子供の頃はこんなに
日本暑くなかったって。
24度の夏なんて日本どうなっちゃうの〜ってニュース見て怒ってたよ」
すると茜はふはっと吹き出して、
「ニュースみて怒るんだ、百合のママ。私のパパはニュースとか見ないなあ。朝早くて私が起きた頃には出てっちゃような人だし。」
茜はそういった後、(この話なしなくてよかったかも)とでも思っているようなバツの悪そうな顔をして、
そういえばさーと社会の担当の鈴木先生が結婚したらしい、という話を始めた。
茜の家にはお母さんがいない。
正確にはお母さんはいるけど、
今はお父さんとの二人暮しで一緒には住んでいない。
茜と私が小学校2年生の頃、私達の学校では茜のお父さんとお母さんが離婚したという話でもちきりになった。
というのも茜の家は家族みんな超の着くほどのラブラブ仲良し。授業参観とか、街のスーパーコイケヤであった時の様子からしてそうで、当時の私達にとって、それは衝撃的なニュースだったからだろう。
茜は今となっては元気そうに見えるけど、
実際今の生活のことをどう思っているんだろう━━━━━━━━━それは親友の私でも聞けないことだった。
「┈┈百合?」
そんなことを考えていると茜がキョトンとした顔でこちらを見てくる。
「ごめん、ちょっとぼーっとしてた!鈴木先生結婚したの?」
ハッとして返事をすると、そうなの、とうなづいて、こっちを見た。
「そうなの、しかも知ってる?その鈴木の再婚相手って、隣のクラスの仲原くんのお母さんっていう噂があってさー」
「仲原くん?」
仲原くんって誰だろう。
この中学に通って1年半が立とうとしてるけど、顔が直ぐに思い浮かばない。
隣のクラスなら、すれ違ったりすることはあるんだろうけどなあ。
「でさ、私さー」
茜は一点を見つめて、真っ直ぐな目をして言った。
「そんな他人の家の事で、みんながギャーギャー騒ぐのが嫌なの。誰のお母さんが誰と結婚しようが、なんでもいいのにね?」
と、茜がこっちを見る。
「まーー、私も気になって聞き耳立てちゃったんだけさ、」
とガハガハ笑った。
茜は優しい子だ。
スキャンダルとかそういうので盛り上がるクラスメイトとは違う。
いつも明るくて面白くて、クラスに馴染んでるのに、こういう話題には一線を引いている。私は顔も知らない『仲原くん』といつかの茜が重なって思えた。
「仲原くんって子、気にしてないといいけどね」
そう言って見上げた空は今日も晴天で、
小さい雲がちょこちょこ並ぶだけの、
綺麗な青だった。
私にとって忘れることの出来ない、あの人の瞳に出会う、人生最初の夏が始まろうとしていた。