危険な隣人たち

第六章 選択と覚悟

その日、ゆいは学校から帰る途中、再び道隆と顔を合わせた。
その視線を一瞬交わすと、ゆいはどうしてもこの質問をしないわけにはいかないと思った。

「道隆さん、何が起きているの?」

道隆は一瞬、ゆいを見つめ、静かに歩を進めながら言った。

「もうすぐ、お前の周りの全てが変わる。お前はその覚悟を持っているか?」

ゆいはその言葉に少し戸惑いながらも、心のどこかで理解していた。
道隆が言う「全て」とは、竜也と飛鳥のこと、そして自分の運命のことを指しているのだと。

「私の覚悟…?」
ゆいは思わず口に出してしまった。
その時、道隆が足を止め、ゆいをじっと見つめた。

「お前が決めることだ。だが、もしお前が選べないのなら、俺がその選択肢を与えるだけだ」

その言葉に、ゆいの胸が重くなった。
これまで、道隆は何かと彼女を守ろうとしてきた。
だが、彼の言葉には、もう一つの意味があることを感じていた。
選べなければ、道隆が代わりに選ぶというのだ。

「私は……」
ゆいは黙って言葉を続けられなかった。

その時、道隆が軽くため息をついた。
「お前が何を選ぼうと、それが最終的にはお前の運命だ。だが、どうしても決められないなら、俺に任せろ。俺はお前を守るために、手段を選ばない」

ゆいはその言葉に、無意識のうちに立ち止まる。

「私は……」

その言葉の先には、もう何も言えなかった。
選ばなければならないのは、自分自身だとわかっているのに、どうしても踏み出せない。
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