危険な隣人たち

飛鳥side

飛鳥はゆいの選択を受け入れられなかった。
彼は何度も何度も、自分に問いかけていた――
「どうして俺じゃダメだったんだ?」

でも、その問いには答えがなかった。
飛鳥は気づいていた。
彼女の心は、もはや竜也に決まっているという事実を。

だが、決して心の中でその思いを放棄することはできなかった。
彼はゆいを守りたかった、彼女を愛していたからこそ、まだその心がどこかで引き裂かれるような思いでいっぱいだった。

「でも……」
飛鳥は冷静に自分を見つめ直した。
自分が今すべきことは、ゆいを守ること。
それだけだ。
ゆいが選んだ道を支えることが、飛鳥にできる唯一のことだと理解した。

飛鳥は家を出た。
彼の足取りは重く、しかし確固たる決意を持っていた。
ゆいと竜也の背中を追いかけるために、そして、この街で何が待ち受けているのかを確かめるために。
< 79 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop