執拗に愛されて、愛して
「…わかった、わかったから。」


 そう言って溜息を吐いて、生チョコを雅の口元に持っていくとパクっと口にしていた。持っていかれたものを、自然と口を開いて食べている雅に、餌付けしている気分になって少し可愛いと思ってしまった。

 私が笑っていると雅は首を軽く傾げてこちらを見ている。

 一度同棲の話を出してしまってから雅もその気だし、上手く行かなかったら元の生活に戻せばいいだけだと判断して、同棲の話をきちんと提案する事にした。


「ここに一緒に住む?それとも、あんたの部屋でもいいし、物件探してもいいし。」

「夏帆の家の方が広いから、一旦はここで良いんじゃん?ちょうど俺来月更新だったし。」

「そう、じゃあ家具の新調とか、荷物の運びだしとか、家具の配置を変えたり、食器とか足りない物揃えたりしないとね。」


 今まで1人暮らしで頻繁に誰かが泊まりにくる家でも無かったから、色々と準備が必要だった。辺りを見渡して、何を新調するべきかなど考え始める。


「てか、同棲を許してくれたって事は、もう踏み込んで良いってこと?」

「え?」

「前までセフレみたいな関係性を変えなくて良いなら、付き合うって条件だったじゃん。それは、もうやめてきちんと付き合う?」


 そう言って私の顔を雅の方に向けさせられ、鼻先が付きそうな程の至近距離で目が合う。

 確かに前の私達は、恋人というよりセフレという関係性の名前が似合っていた。私の今の気持ちで言えば恋人になりたいのかもしれないけど、雅は本当に私を好きでいてくれているのか。そんな不安がよぎる。
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