君と始める最後の恋
「まさか優秀な後輩は先輩に恥かかせないよね。先輩命令、呼んで。」


 そう言いながら距離を詰められると、心臓の音がうるさいのが余計にうるさくなる。

 何でこんなにもこの人のやることに振り回されてしまうのか。先輩命令と言われてしまえば、それに私は抗えなくなる。ずるい、そんな手で言う事を聞かせるなんて。


「…類…先輩。」


 私が名前を呼ぶと、一ノ瀬先輩は一息吐いて「及第点」と呟いてようやく離れる。私、この人の傍に居るときっと死んでしまう。こんなにドキドキすること普段無い。
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