君と始める最後の恋
「先輩、休んでてください。こういうのは後輩の仕事なんです!」

「うるさ、俺は俺のやりたいようにするし。」

「それはそうですけど!」


 そんなちょっとした言い合いをしながら洗い物を済ませる。

 こうやって1人にいつもしないで居てくれてるけどその優しさで私が諦められなくなってるって分かってますか。あの日突き放したんじゃないんですか。私をこんなに好きにさせて何がしたいんですか。色々言いたい言葉は出てくるのにどれも言えやしない。

 せめて期待させないでとは、言ってもいいよね。

 そう考えて軽く息を吐き、先輩の方は見ずに「…先輩、あまり優しくしないでくださいね。」と言葉を放った。


「何の話。」

「こうやって私を1人にしないようにしてくれたりとか、色々。近くにいると諦めるのも無理なので。」


 そう正直に伝え、入れてきたかごに洗ったものを入れる。そのままお2人の元へ戻ろうとすると腕を掴まれる。


「は?」

「今2人のところ戻りたくないんだけど。」


 そうですかと返してしまいたいのに、好きな人って本当ずるい。このまま突き放せない。
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