ぜんぶ、ちょうだい。



高校二年生、吉川小鞠(よしかわこまり)


ただ今、学校の下駄箱のロッカーにひまちゃんと一緒に隠れて待機中。


何してるのかって?そんなの決まってる。


泉先輩に、朝一番の「おはようございます」を届けるため。

それだけのために、早起きして、制服整えて、髪もストレートにして、メイクもばっちり。

全部、先輩のため。


そして、来た。足音。

あの、静かで、でも存在感のある足音。 無表情で、誰にも目を合わせない。


でも、私は知ってる。

その目が、ほんの一瞬だけ、私を見下ろす瞬間を。



「泉先輩!おはようございます!」



声が、ちょっと裏返った。


でも、気にしない。


先輩の目が、私を見た。

まるで、見てはいけないものでも見てしまったかのような、冷たい目。


でも、私は笑う。今日も絶好調。


だって、目が合ったから。

それだけで、今日も生きていける。


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