夏にだけ許された嘘
8話 本の中の『私』が、彼と笑ってた
「あ、真柴さん」
急いで帰り支度している私の所に、ナオちゃんが声をかけてきた。
「真柴さんて、週末は急いで帰るんですね」
「うん、ちょっと用事があってね」
私は笑い返す。
「もしかして彼氏が出来たとか?」
「‥‥まさか」
誤魔化すつもりでまた笑った。
「そうなんですか? 浜辺のカフェで週末デートしてるんじゃないですか?」
「え⁉」
「この間、本屋で立ち読みしてたら、びっくりしましたよ」
ナオちゃんが笑いながら言った。
「真柴美緒って名前の女の人が出てくるんです。浜辺のカフェでデートしてるの。
まんま真柴さんじゃないですか?」
笑い混じりの声が耳に残る間もなく、心臓がドクンと音を立てた。
「他にどんな事が書いてあるの?」
息が止まったみたいに、返事が遅れる。
「え?‥‥あとは好きな飲み物がカフェラテだとか‥‥あとは‥‥」
「‥‥‥‥」
偶然にしては、できすぎてる。
あの場所も、あの時間も、名前まで。
私達だけの、はずだったのに。
ナオちゃんが話し続けているのに、声が遠くなっていく。
笑う余裕なんて、もうなかった。
帰る途中、本屋に寄ってその本を手に取った。
著者名は‥‥KANO‥‥叶さんに間違いない。
手が震えるのを、どうにかして押さえながらページをめくった。
急いで帰り支度している私の所に、ナオちゃんが声をかけてきた。
「真柴さんて、週末は急いで帰るんですね」
「うん、ちょっと用事があってね」
私は笑い返す。
「もしかして彼氏が出来たとか?」
「‥‥まさか」
誤魔化すつもりでまた笑った。
「そうなんですか? 浜辺のカフェで週末デートしてるんじゃないですか?」
「え⁉」
「この間、本屋で立ち読みしてたら、びっくりしましたよ」
ナオちゃんが笑いながら言った。
「真柴美緒って名前の女の人が出てくるんです。浜辺のカフェでデートしてるの。
まんま真柴さんじゃないですか?」
笑い混じりの声が耳に残る間もなく、心臓がドクンと音を立てた。
「他にどんな事が書いてあるの?」
息が止まったみたいに、返事が遅れる。
「え?‥‥あとは好きな飲み物がカフェラテだとか‥‥あとは‥‥」
「‥‥‥‥」
偶然にしては、できすぎてる。
あの場所も、あの時間も、名前まで。
私達だけの、はずだったのに。
ナオちゃんが話し続けているのに、声が遠くなっていく。
笑う余裕なんて、もうなかった。
帰る途中、本屋に寄ってその本を手に取った。
著者名は‥‥KANO‥‥叶さんに間違いない。
手が震えるのを、どうにかして押さえながらページをめくった。