推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜
いつもの、飲み屋の通りを歩く。
前の方を歩く人の後ろ姿を見て、ハッと息が止まる。
気づいたら走り出していた。けど、途中でその足を止める。
違った。佑月くんじゃなかった。
ここで佑月くんに話しかけられたあの日のことを思い出す。佑月くんから香る、タバコと香水の入り混じった匂いを思い出す。涙が出て前が滲む。
「あれ〜?どうして泣いてるの?」
男の人に声をかけられる。
あの時は、佑月くんが助けてくれたっけ。