隠れ溺愛婚~投資ファンドの冷徹CEOは初恋の妻を守りつくす~
「株を買われたって……どういうこと……?」

 会社へと戻る車の中、茉結莉は訳がわからず首を傾げる。
 父は頭を抱えるように下を向くと「浩二(こうじ)が売ったらしい」と、自分の弟である叔父の名前を出した。

 非上場企業であるホシ音響の株式は、元々は祖父が一人で保有していた。
 でも祖父の病気が発覚した際、祖父は保有する株式の4割を長男である茉結莉の父に、3割ずつを、次男である浩二と長女である園子(そのこ)に分けたのだ。

「今回俺が買い取ったのは、お父さんが保有していた株だ。今後、残りの株についても買い取る話がついていた。しかし……」

 三砂は小さく息をつくと、父に目線を向ける。

「高額な買値を提示されて、金に目がくらんだ浩二が、売ったらしいんだ……」

 父の言葉に茉結莉は息をのむ。あまりに唐突な話に、一瞬頭が追いつかない。
 呆然としていた茉結莉は、しばらくしてようやく口を開いた。

「売ったって、一体どこに?」
MM(エムエム)ファンドだよ」
「……MMファンド?」

 茉結莉は聞いたことのない社名に、眉をひそめる。
 すると三砂が静かに顔を上げた。
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