電車の向こう側。【完結】
——カタン、コトン。
——カタン、コトン。
規則的な音が、子守唄のように響く。
まどろみの中で、未来はふと気づいた。
どこかでピアノの音がしている。
優しく、切なく、どこか懐かしい旋律。
“月の光と私 ”——。
それは、結城聖の音だった。
次に目を覚ましたとき、
電車はすでに停まっていた。
ホームに降り立つ。
景色は、見慣れた駅と同じ。
でも、空の色が少し違って見えた。
「あれ?……夢?」
家に帰ると、家族が笑顔で迎えてくれた。
何も変わっていない。
そう思いたかった。