明治恋奇譚 〜藤堂様、ミエテマスヨ!~
尚文はふと、将吾の方に視線を戻し、問いかけた。
「それにしても……何故、将吾は令嬢を泣かすまで責め立てたんだ? どう見てもやり過ぎだったぞ」
将吾は、ばつが悪そうに眉尻を下げ、小さな声でつぶやいた。
「……すまない。自分でもやりすぎたと思っている」
「で、泣かすまで責めた理由は?」
「……尚文から渡されたグラスに、毒が入っていたんだ」
「は? 俺が渡したグラスに……? 馬鹿な……」
「いや、あの時、葡萄酒が掛かったシャクヤクの花弁が変色していた。あれは、ただの葡萄酒ではない」
「だけど、俺はただ、給仕から直接受け取っただけだぞ? 何も手は加えてない」
「ああ、それは俺も見ていた。お前の動きに不審な点はなかった。だからこそ、あのグラスの中身を“知っていた”人物があやしいと思って……」
将吾は苦々しげに息を吐く。
「それで問い詰めたら、祖父の一将に頼まれたなどと、荒唐無稽なことを言い出すから……俺もつい……」
反省の色は明らかだった。自分でもやり過ぎたと思っているのだ。
「ふうん……おじい様に頼まれた、ね」
尚文の興味が玲子に移る。
将吾も、そして一将までもが、玲子をじっと見つめていた。
高身長の男たちに取り囲まれ、逃げ場のない玲子は、縮こまるように肩をすくめた。
「それにしても……何故、将吾は令嬢を泣かすまで責め立てたんだ? どう見てもやり過ぎだったぞ」
将吾は、ばつが悪そうに眉尻を下げ、小さな声でつぶやいた。
「……すまない。自分でもやりすぎたと思っている」
「で、泣かすまで責めた理由は?」
「……尚文から渡されたグラスに、毒が入っていたんだ」
「は? 俺が渡したグラスに……? 馬鹿な……」
「いや、あの時、葡萄酒が掛かったシャクヤクの花弁が変色していた。あれは、ただの葡萄酒ではない」
「だけど、俺はただ、給仕から直接受け取っただけだぞ? 何も手は加えてない」
「ああ、それは俺も見ていた。お前の動きに不審な点はなかった。だからこそ、あのグラスの中身を“知っていた”人物があやしいと思って……」
将吾は苦々しげに息を吐く。
「それで問い詰めたら、祖父の一将に頼まれたなどと、荒唐無稽なことを言い出すから……俺もつい……」
反省の色は明らかだった。自分でもやり過ぎたと思っているのだ。
「ふうん……おじい様に頼まれた、ね」
尚文の興味が玲子に移る。
将吾も、そして一将までもが、玲子をじっと見つめていた。
高身長の男たちに取り囲まれ、逃げ場のない玲子は、縮こまるように肩をすくめた。