私は‪✕‬‪✕‬を知らない I
side,優里


ましろちゃんも参加した状態で試合が再開される。


小柳くんの言う通りましろちゃんはバスケも難なく出来ちゃうんだろうなって期待があって、どうしてもましろちゃんばっか目で追っちゃう。


だけど、期待とは裏腹にましろちゃんは何もしない。


ううん、邪魔にならないよう動いたりはするんだけどそれだけ。


心底どうでもいいといった態度で積極的に参加しようとはしない。


どんどん空気が悪くなってるのが分かる。特に同じチームの子達から。


「ましろ体調でも悪いのか?」


「先程の何もしないという言葉通りなんじゃないでしょうか」


皆の会話が聞こえるんだけど、それ以上にハラハラしちゃう。


試合は同点のままあと少しで試合が終わる今もましろちゃんは相変わらず。


期待してたのに。


何、あの子。


そんな言葉が周りから聞こえる。


やめてよ、ましろちゃんはそんな子じゃない。今日だってあたしの我儘を聞いて参加してくれてるんだ。


文くんを助けてくれて、自分だって危ない目にあうかもしれないのにあたしを優先してくれるようなそんな優しい子なんだ。


だから、そんな嫌な目でましろちゃんを見ないでよ。


ましろちゃんを否定するような状況が嫌で嫌で叫んだ。


「ましろちゃん頑張れーっ!!」


普段こんなに叫ぶことがないから裏返っちゃって恥ずかしい。


周りも何事かと見てくるから目立っちゃってるし。


それでも伝えずにはいられなかった。


そんなあたしをましろちゃんは大きな瞳をいつもより少し見開いて見てた。
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