魔法で恋を操る女になった私は、すべてを奪った帝国に復讐する
9話 フィロメアという名の復讐
ざっ、ざっ、と足音が近づく。
刺客たちだ。崖から落ちて死んだはずの私を見て、一瞬、動きを止めた。
「おかしいな。あの高さから落ちて、生きてるなんて」
「けど――顔が‥‥違う‥‥?」
私はゆっくりと立ち上がった。
内側から何かが湧き上がってくる。これは魔力。けれど、今まで感じたことのない濃密な奔流。
瞳の中に炎が走ったのが分かる。空気が揺れ、目の前の男が唇を震えさせて、その場に崩れ落ちた。
何の呪文もいらない。願えば、愛は思いのまま。
「‥‥ねえ、私のこと、どうして殺そうとしたの?」
微笑んで問いかけると、残った男が震えながら後ずさった。
私は静かに一歩、また一歩と近づく。
「あなたたちが捨てた“ただの見習い”は、もういないの」
そして囁いた。
「ここにいるのは、フィロメリア‥‥‥‥誰もが恋に落ち、そして滅びる、傾国の魔女よ」
一目で恋に落ちた盗賊は、彼女を崇拝するかのように、その場でひれ伏した。
足元はふらつき、喉は乾ききっていた。
けれど私は歩く。這ってでも、生き延びる。
フィロメアの力を‥‥この命を使って、血の一滴が枯れるまで、必ずあの王子と王女に‥‥地獄を見せてやる。
その一念が私を前へと進ませた。
霧が深まる峠道。視界の先で馬の蹄音が止まった。
また追手かもしれないと身構えた。
「‥‥こんなとこで何をしている?」
その声に、私は顔を上げる。
銀髪の青年が馬を降り、迷いのない手を差し伸べてきた。
私の魔法が働いたのだ。
その青年は私の事を何も聞かずに手を差し出してきた。
その時、私は思った。
その無言の手こそ、利用すべき“運命”だと。
青年はユリウス。私を追放した帝国の隣にある小さな王国の王だった。
刺客たちだ。崖から落ちて死んだはずの私を見て、一瞬、動きを止めた。
「おかしいな。あの高さから落ちて、生きてるなんて」
「けど――顔が‥‥違う‥‥?」
私はゆっくりと立ち上がった。
内側から何かが湧き上がってくる。これは魔力。けれど、今まで感じたことのない濃密な奔流。
瞳の中に炎が走ったのが分かる。空気が揺れ、目の前の男が唇を震えさせて、その場に崩れ落ちた。
何の呪文もいらない。願えば、愛は思いのまま。
「‥‥ねえ、私のこと、どうして殺そうとしたの?」
微笑んで問いかけると、残った男が震えながら後ずさった。
私は静かに一歩、また一歩と近づく。
「あなたたちが捨てた“ただの見習い”は、もういないの」
そして囁いた。
「ここにいるのは、フィロメリア‥‥‥‥誰もが恋に落ち、そして滅びる、傾国の魔女よ」
一目で恋に落ちた盗賊は、彼女を崇拝するかのように、その場でひれ伏した。
足元はふらつき、喉は乾ききっていた。
けれど私は歩く。這ってでも、生き延びる。
フィロメアの力を‥‥この命を使って、血の一滴が枯れるまで、必ずあの王子と王女に‥‥地獄を見せてやる。
その一念が私を前へと進ませた。
霧が深まる峠道。視界の先で馬の蹄音が止まった。
また追手かもしれないと身構えた。
「‥‥こんなとこで何をしている?」
その声に、私は顔を上げる。
銀髪の青年が馬を降り、迷いのない手を差し伸べてきた。
私の魔法が働いたのだ。
その青年は私の事を何も聞かずに手を差し出してきた。
その時、私は思った。
その無言の手こそ、利用すべき“運命”だと。
青年はユリウス。私を追放した帝国の隣にある小さな王国の王だった。