見えない君は大切な人
不思議に思いつつ席に座る。横を見るが誰もいない。
誰もが普通に空席の前を通り過ぎていく。
「白石くん、今日も遅刻したんだって」
後ろの席からの声が聞こえた。
名前だけがはっきりと耳に残った。
ただ、その声に応えるような返事は、聞こえなかった。
私は視線を隣の空席に落とした。
何度見ても、そこには誰もいなかった。
けれど、心臓が早鐘を打つようにざわめいて、身体がざわついた。
自分だけが感じているこの違和感は、何だろう。