「怒るな、カッちゃん」プロット
『怒るな、カッちゃん!』プロット
起
カッちゃんと言う小学3年生の男の子がいました。勝彦という名前でしたが、よくカッとなるので、「怒るな、カッちゃん!」とお母さんに言い聞かされていました。
ある雨の日、クラスメイトの恭子ちゃんが、下駄箱のところで、雨宿りをしていて、傘を忘れた様子だった。カッちゃんは、恭子ちゃんに傘を貸してあげてしまう。
お母さんにカッちゃんは、傘どうしたの?と言われて、なくしたと言う。雨が降っているのに無くす人がありますか!とお母さんにこっぴどく叱られる。
承
次の雨の日、カッちゃんは今度は、ダンボールに猫が捨てられているのをみつける。カッちゃんは、自分の傘をかぶせて、給食のパンをあげる。
またお母さんに、傘をなくしたと言ってこっぴどく叱られる。
転
今度はおばあちゃんがずぶ濡れで歩いている。
「(なんでだよ!おばあちゃんがなんで傘を忘れるんだよ)」カッちゃんは、電信柱を蹴って、そのままお婆さんに傘を手渡し、走って行ってしまいました。
傘にまつわることは、それだけではありませんでした。カッちゃんは、傘を図書館の傘立てにさしていました。すると傘は盗まれてなくなりました。カッちゃんも、傘が盗まれたことにカッとして、傘を盗むことを考えなかったわけではありません。ですが、そういう時にかぎって、傘立てにさしてあるのは、盗んだことがわかるような変わった柄の傘だったり、壊れた傘で、カッちゃんは盗みをすることを免れました。
それでお母さんにこっぴどく叱られるカッちゃん。「あなたの傘はもうない!」とキツく言われて、傘を買ってもらえなくなる。自分の傘がないというのはどういうことかカッちゃんは考えた。濡れたらいいし、お母さんに叱られたらいいと思った。でも、むかむかが込み上げてきて耐えられなくなってきた。
カッちゃんはむしゃくしゃして庭の紫陽花をぜんぶ切ってしまう。
数分後、やらかした……と青ざめるカッちゃん。
結
なんでこんなことをしたの?と聞くお母さん。
カッちゃんは何も言わない。
そこに、恭子ちゃんが猫を抱いて傘を返しにくる。捨て猫の上に置いてあった傘も、一緒だ。
「かっちゃんのお母さん、カッちゃんはいい子です。ありがとうございました」
お母さんは、カッちゃんが傘をよくなくすから、傘に名前を書いていたのだった。
「いえいえ、こんなダメな息子ですけど仲良くしてくれてありがとう」とお母さん。
カッちゃんは、謝って、紫陽花を花瓶に生けて、お母さんとお父さんと、夕食をとった。
「でも、傘、4本あったわよね?」
カッちゃんは、濡れていたおばあちゃんの話と、図書館で傘を盗まれた話をしました。
「そうなの」お母さんは咎めなかった。
なんで言ってくれなかったの?とお母さんは言いましたが、カッちゃんは人に親切にしたり、傘をぶざまにも盗まれたことが恥ずかしかったのです。
でもね、カッちゃん、濡れている人に傘をさして自分が濡れるのは違うと思うよ。
盗まれたのも、傘立てにさしているから悪いのよ。世の中は悪い人ばっかりなの。簡単に、知らない人に親切にしてはいけないし、注意しなければいけないわよ。
ということがあったので、カッちゃんは傘を人に貸すことも、人を簡単に信じることもやめました。なぜだかカッちゃんのそばには、傘がなくて、雨に濡れている人がよく現れました。ですが、濡れている人がいても、見て見ぬ振りをして、通り過ぎるだけです。
そのままカッちゃんは高校生になって、あの時、あの一連の事件がなかったら、もっと別の自分になっていただろうか?と思い返しました。
「もういいよ」とカッちゃんは呟きました。カッちゃんは自分の深い気持ちと相談して、これからは、濡れている人がいたら、自分が濡れても、傘を貸してあげようと思い直したのでした。たとえ、世の中が厳しくても、それがカッちゃんの奥底にある、優しい気持ちとあきらめだったからです。カッちゃんは、自分を曲げることをしてまで、世の中に合わせたくないと思ったのでした。
起
カッちゃんと言う小学3年生の男の子がいました。勝彦という名前でしたが、よくカッとなるので、「怒るな、カッちゃん!」とお母さんに言い聞かされていました。
ある雨の日、クラスメイトの恭子ちゃんが、下駄箱のところで、雨宿りをしていて、傘を忘れた様子だった。カッちゃんは、恭子ちゃんに傘を貸してあげてしまう。
お母さんにカッちゃんは、傘どうしたの?と言われて、なくしたと言う。雨が降っているのに無くす人がありますか!とお母さんにこっぴどく叱られる。
承
次の雨の日、カッちゃんは今度は、ダンボールに猫が捨てられているのをみつける。カッちゃんは、自分の傘をかぶせて、給食のパンをあげる。
またお母さんに、傘をなくしたと言ってこっぴどく叱られる。
転
今度はおばあちゃんがずぶ濡れで歩いている。
「(なんでだよ!おばあちゃんがなんで傘を忘れるんだよ)」カッちゃんは、電信柱を蹴って、そのままお婆さんに傘を手渡し、走って行ってしまいました。
傘にまつわることは、それだけではありませんでした。カッちゃんは、傘を図書館の傘立てにさしていました。すると傘は盗まれてなくなりました。カッちゃんも、傘が盗まれたことにカッとして、傘を盗むことを考えなかったわけではありません。ですが、そういう時にかぎって、傘立てにさしてあるのは、盗んだことがわかるような変わった柄の傘だったり、壊れた傘で、カッちゃんは盗みをすることを免れました。
それでお母さんにこっぴどく叱られるカッちゃん。「あなたの傘はもうない!」とキツく言われて、傘を買ってもらえなくなる。自分の傘がないというのはどういうことかカッちゃんは考えた。濡れたらいいし、お母さんに叱られたらいいと思った。でも、むかむかが込み上げてきて耐えられなくなってきた。
カッちゃんはむしゃくしゃして庭の紫陽花をぜんぶ切ってしまう。
数分後、やらかした……と青ざめるカッちゃん。
結
なんでこんなことをしたの?と聞くお母さん。
カッちゃんは何も言わない。
そこに、恭子ちゃんが猫を抱いて傘を返しにくる。捨て猫の上に置いてあった傘も、一緒だ。
「かっちゃんのお母さん、カッちゃんはいい子です。ありがとうございました」
お母さんは、カッちゃんが傘をよくなくすから、傘に名前を書いていたのだった。
「いえいえ、こんなダメな息子ですけど仲良くしてくれてありがとう」とお母さん。
カッちゃんは、謝って、紫陽花を花瓶に生けて、お母さんとお父さんと、夕食をとった。
「でも、傘、4本あったわよね?」
カッちゃんは、濡れていたおばあちゃんの話と、図書館で傘を盗まれた話をしました。
「そうなの」お母さんは咎めなかった。
なんで言ってくれなかったの?とお母さんは言いましたが、カッちゃんは人に親切にしたり、傘をぶざまにも盗まれたことが恥ずかしかったのです。
でもね、カッちゃん、濡れている人に傘をさして自分が濡れるのは違うと思うよ。
盗まれたのも、傘立てにさしているから悪いのよ。世の中は悪い人ばっかりなの。簡単に、知らない人に親切にしてはいけないし、注意しなければいけないわよ。
ということがあったので、カッちゃんは傘を人に貸すことも、人を簡単に信じることもやめました。なぜだかカッちゃんのそばには、傘がなくて、雨に濡れている人がよく現れました。ですが、濡れている人がいても、見て見ぬ振りをして、通り過ぎるだけです。
そのままカッちゃんは高校生になって、あの時、あの一連の事件がなかったら、もっと別の自分になっていただろうか?と思い返しました。
「もういいよ」とカッちゃんは呟きました。カッちゃんは自分の深い気持ちと相談して、これからは、濡れている人がいたら、自分が濡れても、傘を貸してあげようと思い直したのでした。たとえ、世の中が厳しくても、それがカッちゃんの奥底にある、優しい気持ちとあきらめだったからです。カッちゃんは、自分を曲げることをしてまで、世の中に合わせたくないと思ったのでした。
