訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
私はそんな内心を押し隠し、いつも通りの愛され笑顔を作って菅野さんに応じる。

「お久しぶりです! 父からお見合い相手が菅野さんだと聞いた時には本当に驚きました! またお会いする機会があるとは思ってなくて」

「いや~あの合コンの日、亜湖ちゃんサッサと帰っちゃったでしょ? 連絡先も教えてくれなかったしさぁ。だけど俺、ずっと亜湖ちゃんのこと忘れられなかったんだよ。だって亜湖ちゃんって俺の理想そのものだし!」

「理想だなんてそんな……! 買い被りすぎですよ、菅野さん! でもどうしてお見合いに繋がったんですか? 私、実家のことはお伝えしてなかったように記憶してるんですけど……?」

実はこのお見合いの話を聞いた時から、ずっとそこが疑問だった。

父は菅野さんの側から熱烈に申込があったと言っていたけれど、なぜ彼は私が来栖家の娘だと知っていたのだろうか。

すると菅野さんは意気揚々と背景を教えてくれる。

「さっきも言った通り、俺はずっと亜湖ちゃんを想ってたんだけど、連絡先を合コンで幹事してた円香ちゃんとかに聞いても教えてくれなくてさぁ。で、半分諦めかけてたら、なんと親父がチャンスを運んできてくれたんだ!」

「菅野さんのお父様が、ですか?」

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