訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「ふふっ、立候補して頂けるなんて光栄です。でもまだ出会ったばかりですよ?」



週末を前に街の雰囲気が華やぐ金曜日の夜。

都内にある創作ダイニングの個室でも、男女グループが楽しげな声を上げて盛り上がっていた。

男女の割合は4対4。

座り方は男女交互。

参加者は全員20代~30代独身。

ここまで示せば、この集まりがどういうものかは簡単に想像がつくだろう。

そう、独身男女の出会いの場――合コンである。

そしてお察しの通り、私もその参加者の1人だ。


私はさっきから何か言う度に「俺はどう?」と自分を売り込んでくる隣の席の菅野(かんの)さんに対して、質問にはストレートに答えずににっこり笑顔で返していた。

タイプについての答えも完全なるはぐらかし。

誰にでも当てはまるような内容にしておけば、誰の気分も害さない。

 ……これぞ、THE当たり障りのないアンサー!

加えて、場の雰囲気を壊さないために笑顔も大盤振る舞い中である。

花が咲くように可憐な笑顔と評される私の微笑みを見て、菅野さんは俄然やる気になったようで、なんだか圧が強くなった。

体を寄せて座る距離を詰めてくる。

それを感じ取った私は、自然な感じで立ち上がり、「ちょっとお手洗いに」とその場をやんわりと逃げ出した。


「あ、亜湖ちゃん! どう? 楽しんでる?」

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