訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
前回の指摘を理解し、葉山さんは着実に女心を掴み始めているようである。

私達はそのカフェで和やかにランチを済ませると、食後のコーヒーを飲みながらこの後について話し合いを始めた。


「ランチの後はどうします?」

「特に考えてなかったけど、どうしようか?」

「えっ、ノープランですか!?」

 ……ここまでせっかくいい感じだったのに!

私はコーヒーカップを持つ手をピタリと止めると、目線だけをジロリと葉山さんに向ける。

そして今日最初のツッコミを入れた。

「まだ2回目のデートですよ? 長い付き合いのカップルならまだしも、付き合い始めの場合はある程度プランはデート前に持っておくべきです。自分のために彼氏から提案して欲しいって思うのが女心ですから」

「そういうものなんだ。だから俺を振った彼女達も微妙な表情してたのか」

「元カノとのデートの時はどうしてたんですか?」

「別にどこでもいいから君の行きたいところで、って相手に合わせたけど?」

 ……う~ん、それは微妙だなぁ。

確かに相手を尊重するのは悪くない。

でも“どこでもいい”って1番困る一言だったりする。

それに……

「それだとなんか葉山さんが考えるの放棄してるっぽい印象を受けるんですよね。雑に扱われてる感じもします。あと面倒くさがりが若干透けてますよ」

< 73 / 204 >

この作品をシェア

pagetop