【十六夜月のラブレター another side】イケメンエリート営業部員入谷柊哉くんは拗らせすぎてる
「どういうこと!? さっき届いたって」
驚愕する俺に絞り出すように彼女が言葉を発する。
「……この手紙、私が高校の寮に入っている時に届いて……雪見が封を開けて中を読んでしまったから私に渡せなくなってしまって……この手紙の前に一度届いてたのも……」
「雪見ちゃんが!? なぜそんなこと? あっ……」
「入谷さん、大阪に引っ越す前日に中学校の私の下駄箱に手紙を入れてくれたんですよね? 話したい事があるから家の近くの公園に来てほしいって」
「うん……」
「私、その手紙読んでなくて……その公園に行ったのは、私じゃなくて雪見だったんです。私の眼鏡をかけて、いつも下ろしていた綺麗な長い髪を私みたいに後ろに一つに束ねて……」
ああやっぱり! 俺が抱いた疑惑は間違っていなかった!
「でもそれさっき会った時に、俺も雪見ちゃんに聞いたんだよ? そしたら雪見ちゃんは何のことかわからないって……」
「そのあと雪見がうちに来て全部話してくれたんです。その手紙と一緒に。ぽろぽろ涙を零しながら。入谷さんに言えなかったって……」
まさか、こんなことになっていたなんて……。
何ひとつ、彼女に届いていなかったなんて……。
「そうか……やっぱりあの時あの公園で会ったのは雪見ちゃんだったんだ……」
「雪見はどうしても入谷さんのことが好きで……もし同じことをほかの人がしたなら怒りに任せて責め立てた。でも雪見を責める気にはなれない。雪見もずっと、私の隣にいるのが辛かったって。いつも比べられ傷付くことに酷く怯えていた私のように……」
俺のせいだ。雪見ちゃんの気持ちに無関心だった俺の。
「だから雪見は私に入谷さんに全部話して来てほしいって頼んだんです。それが唯一の、罪を償える方法だからって。私が憶えてないというたびに、入谷さんのプライドを傷付けたのも当然ですよね。どうか罪深い私達姉妹を許してください」
いいや、罪深いのはこの姉妹を追い込んだこの俺だ。
驚愕する俺に絞り出すように彼女が言葉を発する。
「……この手紙、私が高校の寮に入っている時に届いて……雪見が封を開けて中を読んでしまったから私に渡せなくなってしまって……この手紙の前に一度届いてたのも……」
「雪見ちゃんが!? なぜそんなこと? あっ……」
「入谷さん、大阪に引っ越す前日に中学校の私の下駄箱に手紙を入れてくれたんですよね? 話したい事があるから家の近くの公園に来てほしいって」
「うん……」
「私、その手紙読んでなくて……その公園に行ったのは、私じゃなくて雪見だったんです。私の眼鏡をかけて、いつも下ろしていた綺麗な長い髪を私みたいに後ろに一つに束ねて……」
ああやっぱり! 俺が抱いた疑惑は間違っていなかった!
「でもそれさっき会った時に、俺も雪見ちゃんに聞いたんだよ? そしたら雪見ちゃんは何のことかわからないって……」
「そのあと雪見がうちに来て全部話してくれたんです。その手紙と一緒に。ぽろぽろ涙を零しながら。入谷さんに言えなかったって……」
まさか、こんなことになっていたなんて……。
何ひとつ、彼女に届いていなかったなんて……。
「そうか……やっぱりあの時あの公園で会ったのは雪見ちゃんだったんだ……」
「雪見はどうしても入谷さんのことが好きで……もし同じことをほかの人がしたなら怒りに任せて責め立てた。でも雪見を責める気にはなれない。雪見もずっと、私の隣にいるのが辛かったって。いつも比べられ傷付くことに酷く怯えていた私のように……」
俺のせいだ。雪見ちゃんの気持ちに無関心だった俺の。
「だから雪見は私に入谷さんに全部話して来てほしいって頼んだんです。それが唯一の、罪を償える方法だからって。私が憶えてないというたびに、入谷さんのプライドを傷付けたのも当然ですよね。どうか罪深い私達姉妹を許してください」
いいや、罪深いのはこの姉妹を追い込んだこの俺だ。