目が覚めたら、ロンドンでした。




彼女は、そっとホームズの胸に顔をうずめ、囁くように答えた。



「……ただいま、ホームズさん。私も……ずっと、愛してます!」



 ベイカー街の窓から、柔らかな光が差し込む。

 二人の影が重なり、揺らめくように一つになる。




 外では、金属のチャイムが再び小さく鳴った。
 ――カシャン、カシャン。




それはまるで、
 “時が再び動き出した”ことを知らせる合図のようだった。






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