キス魔なカレシ。
 静かな誰もいない教室で、見つめ合う。

 そして、唇が重なる。

 「んっ」
 「うっ、ぅん」

 たった数秒の出来事なのに、まるで時間が止まったような感覚になる。

 体感にして、三秒ほどの短いキス。

 「可憐ちゃんの唇って、柔らかいんだね」

 郁弥はそう言って、微笑む。

 私の唇は少し、しっとりと濡れていた。
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