御影の王
第二章、「それなりには楽しめた」
その男は、紅勢十郎というらしい。

聞けば、私と同日にこの御影第一高校に転校してきた上級生。

マラソンの授業で超高校級の記録を出した男子生徒がいると聞いていたが、どうやら彼の事らしい。

自信家で不遜な態度。

いつでも他人を見下したような皮肉な笑みを浮かべる癇に障る表情。

この紅という男を、実は数日前に遠目に見かけた事があった。

校内の廊下を歩いていた時だったか。

別に会話を交わした訳ではない。

ただ一方的に見かけただけ。

だがその瞬間に私は理解した。

この男はいけ好かない。

何かの拍子でこの男と対峙する事があったならば、私は全力を以ってこの男を叩き潰すだろう。

そんな本能にも似た直感が、私の中で燻っていたのを覚えている。


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